代表挨拶

未来のサウンドトラックファンのために

サウンドトラック(映像音楽)文化は危機に瀕しています。

かつて映画音楽はポピュラー音楽の花形ジャンルの一つでした。歌の入らないテーマ音楽がシングル盤で発売されてヒットチャートをにぎわし、アルバムはポップスやロックやジャズのアルバムのように独立した「作品」として聴かれていました。サウンドトラックは、独自の魅力を持つ「インストゥルメンタル」ジャンルとして愛されていたのです。
ヴィクター・ヤング、ヘンリー・マンシーニ、ニーノ・ロータ、ミシェル・ルグラン、フランシス・レイ、エンニオ・モリコーネ、ジョン・ウィリアムズ……、映画音楽のジャンルから人気作家になった作曲家は少なくありません。日本でも、『ゴジラ』の伊福部昭、『宇宙戦艦ヤマト』の宮川 泰、『ルパン三世』の大野雄二、『ジャングル大帝』や大河ドラマの冨田勲など、サウンドトラックによって新たなファンを獲得した作曲家は多くいます。

時が過ぎ、いつしか(おそらく、ビデオパッケージやDVDの普及とともに)、サウンドトラックの売れ行きは落ち、それとともに、サウンドトラックの発売点数は減っていきました。
映画やアニメのヒット作ですら単独でサウンドトラック盤が発売されるとは限らず、かろうじてDVDの特典としてリリースされるのはまだよいほうで、まったく発売されることすらない作品も見受けられます。
それは、「同じ値段で映像そのものが手に入るのだから、わざわざ音楽だけにお金を使うことはない」というユーザーの気持ちの表れなのかもしれません。

しかし、映像音楽は映像作品の付随物なのでしょうか?

けっしてそうではない、と私たちは思っています。それは、なによりも音楽家の「作品」であり、単独で鑑賞しても、ほかのジャンルの音楽にない、尽きない魅力を持った楽曲群だと考えています。

このままサウンドトラックの商品化が減っていけば、いずれ、サウンドトラックを作るノウハウも失われ、サウンドトラックを聴くという文化自体がすたれてしまうのではないか?

そんな危機感から、株式会社サウンドトラックラボラトリーを創設しました。

サウンドトラックラボラトリーのミッションは、すぐれたサウンドトラック作品を保存し、広く聴いてもらい、後世に残すことです。
多くの人に聴いてもらいたいすばらしいサウンドトラックが、まだまだメーカーや制作会社に残っています。ほうっておけば、磁気テープの劣化とともに失われてしまったり、再発の機会がないまま忘れてしまったりしかねないそうした財産を、なんらかの形で残したい。未来のサウンドトラックファンのために。それが、株式会社サウンドトラックラボラトリーの願いです。

代表取締役 山崎哲彰